頭痛専門外来


頭痛専門外来について

頭痛専門外来 頭痛は日本人の3-4人に1人が感じているとされています。仕事や家事を休んでしまったり、集中できなくなる原因になり、頭痛を繰り返す不安から人との約束を遠ざけてしまったり、外から傷が見えたりするものではない為にまわりにはなかなか理解されないことも多く日常生活に大きな支障となります。痛みを我慢しながら生活することは大変な苦痛を伴います。痛みを我慢する必要は全くなく、頭痛の原因の診断・治療のお手伝いができればと考えます。

頭痛専門外来を受診する意味

激しい頭痛でなくても、頭痛の中には脳出血やくも膜下出血といった命の危険が及ぶ緊急性の高いものが隠れていることがあります。特に慢性的な頭痛をお持ちの方が新たに出た頭痛をいつものと考えて様子を見ているうちに重症になってしまうこともあります。そういった頭痛を早期発見ができれば重症になることを防ぐこともできるため、いつもの頭痛と違う痛み、めまいや吐き気を感じた時には頭痛外来の受診をお勧めします。 また、命に関わる頭痛でなくても、頭痛の原因は様々な種類があり、それによって治療方法も異なってきます。特に頭痛に効果的な新薬などは神経系(脳神経外科・脳神経内科など)の専門医のみが処方できるものもあります。当院では日本脳神経外科専門医が診察・診断を行います。慢性的な頭痛にお困りの方も頭痛外来でご相談いただければと思います。

頭痛の種類

頭痛には元々頭痛持ちの方の頭痛にあたる「一次性頭痛」と、
感染や外傷、脳卒中など原因となる疾患がある「二次性頭痛」に分けられています。

一次性頭痛

一次性頭痛は命に関わる病気ではありませんが慢性的な痛みとして日常生活へ支障をきたします。



片頭痛は脳内にカルシトニン遺伝関連ペプチド(CGRP)という物質が脳の血管に作用して起こると言われています。
若い方にも多くみられる病気で、発作的に強い頭痛が起こる為、仕事や家事、学業など個人・社会経済への影響が強い病気と言われています。
頭の片側(両側に起こる方もいらっしゃいます)にドクドク・ズキズキする(拍動性といいます)強い頭痛、突然起こり一度起こると4-72時間ほど持続し、日常動作(歩行や階段昇降など)で頭痛が増悪すること、頭痛時に吐き気や実際に吐いてしまったり、眠気が出てアクビがよくでたり、光や音を過敏に感じてしまい不快感がでることが特徴とされています。
肩こりや首のこり、筋肉の緊張が原因による頭痛です。精神的なストレスが原因でも起こります。
一次性頭痛の中で最も多い頭痛で、個人が一生のうち(生涯有病率)に50 %以上でかかる病気といわれています。
首の後ろから頭の両側面にかけてをキリキリ・ギューッと圧迫されるような締め付けられるような痛みで、日常動作(歩行や階段昇降など)では増悪せず、吐き気などは伴わないことが特徴とされています。
長時間同じ姿勢での作業やストレスが原因とされるため生活習慣病ともいえます。痛みを我慢することがストレスを増大させ、さらに痛みへとつながる悪循環となるため早期の治療と共に、同じ姿勢を長時間とらない、首や肩の運動、適度な運動や休息とストレスを溜めない工夫が必要になってきます。
この頭痛が発生するメカニズムはまだはっきりとは解明されていませんが脳の異常はなく、頭痛が厳密に頭の片側、頭の側面や特に目の周りに目をえぐりとるようなと表現されるほどの激しい痛みが15-180分続き、頭痛がでている側の目の充血や流涙、目の周りが腫れたり、鼻汁などがでます。その頭痛が出だすとその発作が数週間から数ヶ月続いて(群発期)、また痛みが出ない時期が数ヶ月から数年続く(寛解期)が特徴とされています。
お酒やアレルギー治療の薬などが頭痛の引き金になることもある為、この頭痛をお持ちの方は群発期にはそれらを控えていただく必要があります。
咳や運動、性行為、寒冷の環境でおこる頭痛などがあります。他の病気がないことが確認されて診断がつく病気で診断が難しいものといえます。

二次性頭痛

二次性頭痛には命に関わる可能性のある病気もあります。「突然の今まで感じたことのないような頭痛」「頭痛がだんだん強くなってくる頭痛」「頭痛に合わせて手足の動かしにくさがある」などいつもの痛みと違う頭痛を感じた際には速やかな病院受診が必要です。
「頭痛の後に意識を失った場合」や「動けなくなるほどの激しい頭痛」「交通事故や転落など激しい怪我による頭痛」の場合は手術を含めた早急な治療が必要な可能性が高いため、救急車を呼んでください。



頭部外傷の中には軽症なものから重症なものまで様々ですが、「怪我した時に意識を失った」「怪我をした前後の記憶がはっきりしない」「頭を打った後に何度も嘔吐した」などの症状が見られた場合は、重症な頭部外傷の可能性があり、緊急手術がひつようなこともあるため早急な病院受診が必要です。
そういった重症な怪我でなくても、軽い頭・首の怪我による脳震とうやむち打ちなどがきっかけで数ヶ月、数年、数十年以上頭痛が続くこともあります。ただこういった外傷と慢性頭痛の因果関係を証明することは非常に難しいとされています。
2.脳卒中による頭痛
【くも膜下出血:詳しくはここをクリック】
頭蓋骨の中、脳と脳の間にある脳を包む膜であるくも膜と呼ばれる部分で血管が破れることでおこる病気です。脳動脈瘤と呼ばれる血管の瘤が破れることが原因の90%といわれています。この脳動脈瘤は日本人の約20人に1人が見つかると言われおり、また日本人の動脈瘤は破れやすいともいわれています。破裂しなければ症状が出ることはほとんどありませんが破れてしまうと頭の中の圧力が急激に上昇し、脳へのダメージがおこり、重篤な障害が残ってしまったり、死亡してしまう可能性がある病気です。圧力が上昇することで一時的に止血が得られますが、再度破れて出血してしまう可能性は非常に高く、再度破れると更に重症になる可能性が高いと言われています。
突然、「今まで感じたことのないような頭痛」「金属バットで頭を殴られたような頭痛」が特徴と言われていますが、中には出血がごく少量で「突然の軽い頭痛」だけのこともあります。いつもと違う頭痛の場合は病院を早期に受診するようにしましょう。
【脳出血:詳しくはここをクリック】
脳の中にある細い血管が破れてしまうことで脳の中に出血を起こす病気です。出血をおこした場所や出血の量によって同じ側の手足の動かしにくさ(半身麻痺)や呂律がまわらない、言葉が喋ることができない、感覚がわからない、嘔吐やめまい、意識障害など様々な症状がでてきます。頭痛はあまり強くないことが多いとされています。
動脈硬化がすすむと血管が破れやすく(脳出血など)、詰まりやすく(脳梗塞や心筋梗塞など)なると言われています。高血圧・脂質異常症・糖尿病などの生活習慣病が動脈硬化を進行させると言われていますので、そういった基礎疾患をお持ちの方はより注意が必要になります。
【一過性脳虚血発作:詳しくはここをクリック】
頭の中の血管が一時的に詰まり症状が一時的に出るものを一過性脳虚血発作と言います。これは脳梗塞になりかけた状態で、脳梗塞になってしまうと症状が治らなくなってしまう為、早期の治療開始が重要と言われています。症状としては手足の動かしにくさ、しゃべりにくさ、思った言葉が出ない、触った感じがわからないなどが一時的(24時間以内に消失する)にでます。頭痛が出ることもありますが、強い頭痛が出ることはあまりないと言われています。
動脈硬化や不整脈が原因なことがあり、それぞれ治療方法が異なる為早期の診断・治療が非常に重要となります。
【脳梗塞:詳しくはここをクリック】
頭の中の血管が詰まり、脳へダメージが残ってしまうものを脳梗塞と言います。脳梗塞が起こった場所・大きさによって症状は様々ですが半身の手足の麻痺、喋りにくさ、言葉が出てこない、意識障害などの症状に加え重症なものでは命に関わることもあります。
脳梗塞を起こした時に起こる頭痛に加えて、脳梗塞が起こった場所によってはその後も持続的に頭痛が続くこともあります。
脳梗塞は血管が詰まってから血が足りなくなった脳細胞が徐々に死んでいってしまい広がります。詰まってすぐに詰まった部分の流れを取り戻す治療ができれば、脳梗塞が広がらず症状を抑えることができます。少しでも早い治療が重要と言われており、脳梗塞を疑う症状が見られた場合はすぐに病院を受診しましょう。
頭の中に腫瘍ができることで頭の中の圧力が上がり頭痛が出ることがあります。
脳腫瘍は数年〜数十年かけてゆっくりと大きくなる良性のものから、数日・数週間の単位で大きくなっていくような悪性のものまで様々ですが、脳腫瘍が大きくなるに従って徐々に頭痛が強くなること、朝起きた時やいきむと頭痛が強くなることが特徴とされています。
脳腫瘍のできた場所によって頭痛の他にも吐き気やめまい、手足の麻痺や性格変化など様々な症状がでてくることがあります。
慢性頭痛に悩まされている方の中には、実はその痛み止めを含む色々な薬や健康食品などが原因で頭痛になっている方がいらっしゃいます。
元々あった頭痛に対して始めた薬や食品などを痛みに伴い頻回に使用することが引き金になることが多く、頭痛がでてしまうために薬や食品の量が増え、さらに頭痛がひどくなる悪循環になります。
診断としては難しいものになりますが、他に明らかな原因となる病気がなく、薬を常用的に使用している方は一度薬を中止または変更することが有効なことがあります。