緊張型頭痛



緊張型頭痛とは

一次性頭痛の中で最も多い頭痛で、個人が一生のうち(生涯有病率)に50 %以上でかかる病気といわれています。肩こりや首のこり、筋肉の緊張、精神的なストレスが原因で、
首の後ろから頭の両側面にかけてをキリキリ・ギューッと圧迫されるような締め付けられるような痛みで、日常動作(歩行や階段昇降など)では増悪せず、吐き気などは伴わないことが特徴とされています。
長時間同じ姿勢での作業やストレスが原因とされるため生活習慣病ともいえます。仕事の影響が強いため中高年の方に多いとされていましたが、最近ではスマートフォンやパソコンの普及により小学生や中学生から緊張性頭痛となる方も増えています。
緊張型頭痛が起こるメカニズム
筋肉は同じ姿勢を保っていると筋肉の緊張が続いて血流が悪化してしまい、酸素や栄養素が不足し、疲労物質の排出が妨げられてしまい、血管が収縮して、神経が刺激され、痛みが生じます。血管が収縮すると血流がさらに悪化するため、さらに痛みがます悪循環となります。
もともと人間の頭の重さは体重の10%程度あるとされ、ボーリングの球ほどのおもさがあります。そのためそれを支える首から肩にかけての筋肉は負荷がかかりやすい部分になっています。特に細かい手作業やパソコン、スマートフォンなどを見るときのような下を向いた姿勢などを長時間続けると非常に強い負荷になってしまいます。
また、痛みを我慢することが心身ともにストレスを増大させ、さらに痛みへとつながる悪循環となります。最初は痛みが軽く短時間で痛みが引く「反復性緊張型頭痛」であった方が、痛みを我慢していくうちに徐々に慢性的な強い頭痛「慢性緊張型頭痛」につながってしまいます。慢性的になってしまうと痛みの改善が難しくなってしまいます。
そのため早期の治療と共に、同じ姿勢を長時間とらない、首や肩の運動、適度な運動や休息とストレスを溜めない工夫が必要になってきます。
緊張型頭痛の診断
緊張型頭痛を含めた多くの一次性頭痛は症状を聞かせていただくだけでおおよそのあたりをつけることは可能です。ただ、痛みが慢性化している方や悪化している方の中には他の頭の病気が原因の頭痛(二次性頭痛)が隠れていることがあります。
そのため、症状を聴かせていただくなかでそういった病気の可能性が疑われる場合には頭の中を詳しくみるための頭部CT検査や、頭部MRI検査が必要になります。
緊張型頭痛の方が日常生活で心がけること
生活習慣が頭痛の原因となっているため、薬での治療よりも生活習慣の改善により頭痛の原因をとることが最も重要です。
1.長時間同じ姿勢での作業を控える
作業台やパソコン周辺の環境を整えたり、スマートフォン使用時の姿勢を正したり、枕の調節などを行いましょう。
2.心身のストレスをできるだけ溜めないようにする。
適度な運動やストレッチ、肩までゆっくりと浸かる入浴などで血流の改善を目指します。
肩・首周りを温めてあげると血行が改善しコリをほぐすことにつながります。
3.痛み止めを飲みすぎない
緊張型頭痛は軽症の場合は鎮痛薬で痛み自体のコントロールができるため、生活習慣の改善がなされないまま痛み止めで痛みだけを抑えていると、徐々に痛みの程度が強くなり痛み止めが効かなくなったり、痛み止めの量が多くなりすぎることがよくあります。
痛みを我慢する必要はありませんが、痛みの原因をとることを重視するようにしましょう。

緊張型頭痛は命に関わる病気ではありませんが、多くの方がかかる病気であり、慢性的な痛みからうつ病や不眠症の原因になってしまうこともあります。また、命に関わるような別の頭痛が起こっても、慢性的な頭痛のせいで、その頭痛を見逃してしまうことに繋がることもあるため、我慢せずに早めの頭痛外来への受診をおすすめします。